slappin' beatsの補助的なblogです。
音ゲー評論系中心ですが他の内容も取り扱う予定です。
旧blog→http://d.hatena.ne.jp/har-k/

「クロスビーツ 判定箇所について / 音楽ゲームとしてのクロスビーツ / RP2000を目指す本append」をpixivに公開しました

「RP2000を目指す本」「RP2000を目指す本append」より抜粋したものをpixivに上げてみることにしました。

本の内容については以下を参照。

slappin'beats C87新刊「RP2000を目指す本~音楽ゲームとしてのクロスビーツ~」告知ページ

 

 

www.pixiv.net

REVのフリック判定の参考になればと思います。

 

www.pixiv.net

REVのプレイやiOS版で練習する際の参考になればと思います。

 

ホールドの抜け回避方法はまあ連打し過ぎてもアレなので参考程度に。

あと3枚目の「入手用意な」は「入手容易な」の間違いですね…すいません。

 

www.pixiv.net

REVの発表前に執筆した文章となります。

「覚えゲー」であるクロスビーツをiOS版はいかにゲームシステムとして昇華していたか

はるくです。コミケお疲れ様でした。

昨日、このような記事がREVプレーヤーから投稿されていました。

ch.nicovideo.jp

基本的には同意です。
しかし、「覚えゲー」としての側面が強いゲームを何の指標なしにやらせているREVのシステム

(唯一あるのは「MASTER譜面のフルコンボ」という途方もなく遠い目標)については否定せざるをえません。


それでは「同じ覚えゲーのはずである」iOS版はどうだったのか。いろいろと書いていこうと思います。

 


iOS版クロスビーツは「覚えゲー」を苦痛とさせないゲームシステムだった

覚えゲー要素が強いゲームであるクロスビーツですが、iOS版のシステムはそれを「段階的な目標達成」に昇華させるシステムが秀逸でした。
○アンロックチャレンジ
    区分された目標を用意し、自分に合った目標を設定させることで、何度も練習させて覚える作業を解禁作業に変換することができるようになっています。

    また、サポートによって「ポイントを貯める」作業が、そのまま自身のアンロックチャレンジに有利に働くという相乗効果をもたらすことになります。

    基本的にはアンロックチャレンジで解禁するころには10回程度のプレイはしていることになりますが、解禁までにここまで同じ譜面をプレイさせる仕組みはほかのゲームにはない特徴です。

    それにより、「譜面を覚える」作業のストレスがある程度軽減されています。

○スコアアタック・累積イベント
    スコアアタックについては、課題曲を集中的に練習させることになるため、覚えゲーが強いゲームとしては一石二鳥といえます。

    課題曲の種類についても、収録曲をまんべんなく採用したり、先行収録曲・ガチャ専用曲を限定プレイさせることによって同じ曲ばかり練習させることによる「飽き」を解消しています。

    累積イベントは「効率の良い曲」に集中することになるために練習の効果は限定的ですが、どんなに失敗したプレイでも累積スコアとして蓄積されるのはメリットともいえるでしょう。

○RPやフルコンボ数による曲の解禁

    プレイが上達することでプレイできる曲が増えるというのであれば、「覚える作業」もそれ自身が糧となります。

   これはプレイ回数の蓄積による解禁とは異なり、1回ごとのプレイに高い価値を与えるものになります。

○リトライによるチケットの軽減

    反復練習にお得感を出すことで、失敗以後の「捨てゲー」行為をしなくて済むと同時に、リトライをすること自体が継続プレイとなるので習熟度が高くなることが期待されます。

 

こういう要素を盛り込むことで、たとえ「覚えゲー」が強いゲームでも効果的に練習できるようになっています。

これは現在のBEMANIシリーズで主流となっている「プレイ回数による解禁作業」とは一線を画した、非常に強力なゲーム要素だったといえます。

 ゲームシステムはタッチパネルのみという仕様上、AC音楽ゲームと比べてやや劣るものでしたが、「家・屋外問わずどこでもプレイできる」iOS音楽ゲームとしては随一の出来だと評価しておりました。


対してREVはどうでしょうか。アーケードゲームのシステム上、制約がiOS版よりも大きいため、採用できない要素も多くあり、これらは新要素にて補完するものと予想しておりました。

ロケーションテスト等でも、まだ開発中のために新要素はそぎ落として公開されているものとばかり思っておりました。


結果としましては皆さんがプレイされた通りです。

上記の要素はすべて排除され、アーケードゲームとしては単純、かつ難解な「ゲームシステム」のみが残されました。上達に対しての報奨や指標に乏しく、解禁もポイント解禁という「BEMANIシリーズ」とさほど変わり映えしないありきたりの方法。

表記不具合や解禁トラブルも多く、「とりあえずガワだけ持ってきました」的な作りにある意味失望を覚えています。

せめてiOS版で練習してもらえたら…という思いで書いた本が、今回のコミケで急きょ作ったコピー本になります。

 

twitter.com

 


先日このような事を書きましたが、これは本心です。

ゲーム性は変更できませんし、タッチパネルゲームとしてハンデがありますが、今後「覚えゲーでも楽しく上達できる」システムに改善されることを願っております。

 

C88の告知(三日目T-59a)

お久しぶりです。はるくです。
今回の新作は「音楽ゲームの特許」となります。
内容についてはtwitterに書いた以下のとおりです。

 


この本を出した理由についてもう少しお話ししたいかと思います。
音ゲーの特許といえばbeatmaniaの特許と他社とのトラブルが有名ですが、
その後の各社の特許取得状況については多くを語られては来ませんでした。
音楽ゲームの特許取得については10年以上経過した現在でも
各社が率先して行われていることを示すための本となります。


特許には著作権があります。
いくら無料で、go.jpドメインのサイトでだれでも見ることができるとはいえ、
転載をするには企業の許可が必要になることがあります。

(そういう意味で検索でヒットする特許検索サイトはグレーだと考えています)

 

ましてや今回の本は金銭のやり取りを自主流通とはいえ行う同人活動であるため、
「引用」の範囲を超える内容の転載は避けるべきだと認識しています。


そこで、この本に関しては以下の制限を課しております。

「AC音楽ゲームの特許情報の集積」という目的としてはここまでが限度と考えています。

●基本的に一作品につき1つの特許の掲載のみ(多いものでは10個以上の特許を取得しているものもある)

一覧の内容は以下にとどめる
  ・発明の名称
  ・特許番号
  ・出願日
  ・登録日
J-PlatPatで検索する為の補助となる情報を基本構成とする

 


さらに、特許において「どこからどこまでが特許か」というのは、特許公報をざっと読んだだけではわからなかったりします。

「AでありBが含まれるC」という作品は、「AでありBが含まれるD」の特許侵害にはならないのです。
ここまでを読み取るには時間を掛けた非常に慎重な判断が必要です。
間違って記載する可能性が高いため、私の素人解説も載せるのを避けました。

 


そんなこんなあって非常に薄い本になりました。

まあ生活環境が変わったせいで執筆の時間が取れなくなったというのが主な理由でもあるのですが…

何はともあれよろしくお願いします。

 

 

 


それと、Junction Box 6で頒布したピリオドタオルの方も残りを頒布しますので
よろしくお願いします。

予想以上にかさばる事が分かったので何とかしたいのです!
フェイスタオルとしては普段使いできるデザインで、安い方だと思いますので是非!

そのまま会場で使ってもいいですよ!

クロスビーツREV.について

電撃 - 『CROSS×BEATS』を手がけたNAOKI MAEDAさんにインタビュー! 本格的な音楽ゲームを場所を選ばずに遊べるソフトの開発

僕自身の考えを言ってしまうと、こだわりはそこまでありませんでした。ただ、過去にユーザーさんと触れ合った際に、「僕の県で筺体の置かれているゲームセンターまで、車で2時間かかります」とか「そもそもゲームセンターに筺体がありません」という意見を直に聞いていました。そこに関して、申し訳ないという気持ちとなんとかしたいという意識がずっとあったんです。
 カプコンのアーケードにおける昨今の事情、あわせてタブレット端末の普及状況を考えた時に、タブレットを主軸とした音楽ゲームコンテンツを展開するのがいいだろうという考えに至りました。現在の通信環境や端末の操作性を加味して、ゲームセンターにある筺体を、家や移動中でも体験できるような状況を再現できると思ったのが、きっかけですね。


「crossbeats REV.」は最初からアーケードを目指して作ったタイトル――プロデューサーNAOKI氏にJAEPO会場で話を聞いてみた - 4Gamer.net

僕は元々アーケード畑の人間でして,iOS用の「CROSS×BEATS」も最初はアーケード向けに企画したタイトルだったんです。とはいえ,アーケードに挑戦するためには,まずはその体制を整えなくてはならなかったんですね。

鷲崎健さんの件で初めてクラウドファンディングを知った人に向けて簡単に説明してみる

声優・アニメ系のラジオ番組DJ・イベント司会の鷲崎健氏のクラウドファンディングが話題になっています。

 

【応援中!】鷲崎健 4thアルバム&1stワンマンライブ 実現プロジェクト


氏の新しいアルバムとライブの実現に向けたプロジェクトであった訳ですが、なんと1日にして2000万以上の資金を集めてしまいました。
その功績は素晴らしく、多くの視聴者が氏の音楽作品を望んでいた事を実感することになりました。


しかし、あまりにアクセスが集中した為、目的の金額の出資が出来ず、「出資した際の特典」が獲得できなかった人を中心に不満の声が上がっています。
殆どは、「限定版がサイトトラブルで買えなかった」「限定数が少なすぎる」等の不満です。


アクセス過多によるアクセス障害と、高額出資の売り切れまでの見通しの甘さについては主宰のbamboo氏も非を認め、謝罪をしています。
しかし、「限定品」に焦点を当てた批判については、クラウドファンディングの考え方として、少し筋違いではないかと考えます。
大抵はクラウドファンディングについての知識不足によるものだと思いますので、今から説明してみたいと思います。


ここは、皆様にも親しみのある同人活動に例えてみましょう。
私は5年以上評論系の同人サークルをやっているのですが、
コミケのある夏と冬の年2回、新作や再版分の印刷代、申込費用、取材費、執筆費用等で毎回10万以上のお金を先に支払っています。
パソコンを一台買う以上のお金をすぐに出せるようになるには、資金に余裕が無い限りとてもではないけどできません。
今は売り上げを別口座で管理しているのである程度はなんとかなっていますが、私も最初のころは資金繰りに苦労していました。
とある同人音楽サークルの主宰は学生だったので、信用ある知人から毎回お金を借りて作っていたという話もあります。


そうやって先払いによるハイリスクを背負う訳ですが、それをコミケ本番でどれだけ回収できるかは未知数です。
私は出来るだけトントンになるように計画はしているものの、どうしても赤字になる回の方が多かったりします。
6ケタの赤字も2度経験しています。
一部では「同人は儲かる」という風説がありますが、
基本的にハイリスクローリターンが常の同人活動の中で、偶然「流行」等の時流に乗って獲得した「成功体験だけ」が語られているか、
もしくはプロモーション(広告活動)を熟知している仕掛人によるハイリターンを、さも誰でもできるかのように語られているにすぎないと考えます。
また、同人における製作数の見通しは「経験」である程度補える所もありますが、「全く未知数」の新規ジャンル製作の場合、
見通しが分からないという危険性があります。(2度の大赤字はそういう事です)


もし、「同人誌を作る為のお金を買い手に先に出してもらう」事が出来れば、資金不足による問題は解決します。
さらに募集を掛けた母数に対しての「資金を出してもらえる人数」を事前に知る事ができるため、印刷数の見通しも立てやすくなります。
その代わり資金提供してくれた人に対して、「せっかく資金を出していただいたのだから、出来たものは優先してお渡しします」「お礼に特別なものを付けて差し上げます」
といったプレミアムを付ける事ができるのです。その「結果」として、資金を提供した人が実際の商品を手に入れる事になります。
これが「商品提供系のクラウドファンディング」の基本的な流れになります。


ここまで説明してお分かりになると思いますが、あくまでクラウドファンディングは「資金調達」が主で、「特典」については副次的なものに過ぎません。
(性質は異なりますが、最近話題の「ふるさと納税」も似たような形ですね。)

 


中野の駅前広場で屋外DJイベント「Re:animation 7」を開催する! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

中野駅前で無料野外DJイベントを開催する為のクラウドファンディング。bamboo氏の企業もこれに出資している

 

今回の鷲崎氏のクラウドファンディングも「ライブと新作CDの実現の為の資金調達」が目的です。
クラウドファンディングはCD販売用サイトではありませんし、ここで想定以上の販売数を出してしまうとアニメイトなどのCDショップにも迷惑がかかります。
また、途中でプランを変更するという事は、「事前に提出した資金調達計画」を破棄することになり、
製作に携わる業界人はもちろん、条件を見て計画に賛同した出資者に対しての反故にもなりかねません。
鷲崎氏を応援する方法についてはショップで「一般流通したCDを買う」と言うのも一つの手です。
「CDをランキングに乗せたい」のであればそちらが有効ですからね。


割引や限定品の提供が主の、言わば通販番組をネット化したようなクラウドファンディングも巷には溢れており、
単なる広告や時限商法、限定商法まがいのクラウドファンディングもあります。
しかし、それはクラウドファンディングの本質ではないという事は理解してほしいと思います。


またクラウドファンディングは「資金を前借できる」という意味で、「信用を担保に」お金を調達しています。
その事を認識せず、無計画に進め頓挫させたりすることや、さらには詐欺まがいの事例もあるようです。
その点、今回のbamboo氏は過去に数回クラウドファンディング方式にて、合計数千万の資金調達を成功させている実績があり、
最後まで計画を完遂できる、信用できる人物として私は今回出資を決めました。
クラウドファンディングについては、そういった「出資者が信用たる人物か」と言う所にも注目して、
資金を支払うか考えてみてはいかがでしょうか。

 

参考文献:

クラウドファンディングについて書いてみる。:浅草NOWまとめ - ブロマガ

 

コミケ直前告知です

お久しぶりです。はるくです。もう半日後に始まりますが急遽告知です(コピペ)

コミケ今回も頒布します。場所は西い20bです。
今回はクロスビーツ本!詳細は以下をご覧ください。

slappin'beats C87新刊「RP2000を目指す本〜音楽ゲームとしてのクロスビーツ〜」告知ページ
http://slappin-beats.sakura.ne.jp/c87/


slappin' beats初の攻略本です!サファリ難民本は攻略本じゃありません!
結構な量のプレミアムチケットを使って書き上げました。よろしくお願いします!
現状で持ち込むお品書きはこんな感じです。他のグッズも言えば多分出ます。

それでは、よろしくお願いします!

音楽ゲームにおけるライセンス曲の役割について(SDVXについて追記)

どうも、はじめましての人は初めまして。
はるくと申します。

普段は音ゲー中心評論サークル「slappin' beats」として活動しております。
BMSの歴史本やサファリ難民本をご存知の方もいるのではないでしょうか。
今回もそんな感じで音ゲー評論を書いて行こうと思いますので最後までお付き合いください。


さて、まずはこちらのグラフをご覧ください。
f:id:har-k:20141216200722p:plain
これは、現在の音楽ゲームに収録されている曲のうち、ライセンス曲数の割合です。
ライセンス曲にはJ-POPなどの版権曲、他ゲームBGM、コラボレーション楽曲等を含みます。
ただし、コラボ曲に関しては初出が音楽ゲーム作品の場合はオリジナル曲に分類しています。


見ての通り、割合に関してはmaimaiやグルーヴコースター、そして「ほぼすべての曲がライセンス曲で稼働した」ビートストリームが圧倒的に多く、次いで太鼓の達人ダンスエボリューションがその次、というのが見て取れると思います。
jubeatポップンミュージックの位置について意外に思われる方も多いのではないでしょうか。
jubeatも稼働当初は版権曲の割合が多かったのですが、版権局の追加ペース以上にコナミオリジナル曲が増えすぎた影響で割合が少なくなっているのですね。
それ以外にも、ダンエボ・ビートストリームを除く他のコナミ音ゲーも軒並み割合が低いのが分かります。
このグラフには記載していませんが、beatmaniaIIDXもほぼすべてがオリジナル曲で占められています。


さて、ここからが本題です。
これらのライセンス曲は、主に「何のために」収録されているのでしょうか。
それは主に「新規の人がプレイするきっかけ」になるからです。
音楽ゲームに限らず、新規ゲームはプレーヤー数を増やす事が至上命題ですから、まずは人を増やす為の有名なライセンス曲を「宣伝広告として」入れるのが通例です。
そしてそういう人の為に難易度は出来るだけ簡単に、出来るだけプレイしやすい環境で揃えるわけですね。


しかし、その曲が一部の人、一部の世代しか知名度の無いものであった場合、その目的は無に化します。
最近BEMANIシリーズにおいて、U.M.Uというご当地アイドルの曲が大量に収録される出来事がありましたが、その目的をU.M.Uは失念していると私は考えます。
局地的な知名度しかない曲をわざわざ入れるという事は、それ以外の大半の人に「全く無名の新人のオリジナル曲」を収録したのとほぼ同等の効果をもたらします。それがアイドル系ボーカル曲ならばなおさらです。
よって、私としてはU.M.Uは「望まれないライセンス曲」扱いとして考えています。


話を元に戻します。
さて、「知っている曲が入っている」と聞いてその音楽ゲームに1クレジットを入れて、そこで面白いと感じた時、次はどの曲を選ぶでしょうか?
恐らく、次も「知っていて、ある程度気に入っている曲」を選ぶ事でしょう。
わざわざ全く知らない曲を選ぶのは、よほどブレビューがキャッチーな曲でない限りはあり得ない事です。
初心者にとってのオリジナル曲と言うのは「他に知っている曲が無い」時に試しに選んでみる程度のもので、他に遊ぶ選択をする曲があれば後回しにされる曲なのです。


そのゲームの面白さを理解してもらうためには一回や二回では十分ではなく、10回、20回と遊んでみてゲームの「コツ」「テクニック」を理解していく事で、初めて本当の面白さを知る事になります。
よって、初心者を呼び込みたい音ゲーに関しては、そこまで飽きさせないように「出来る限りのライセンス曲を詰め込むのが理想」という事になります。
事実、セガのmaimaiは頻繁にその時の有名ライセンス曲を増やし、もしくは太鼓の達人のように(ハード制約などの理由で)新たに有名になった曲へと入れ替えを行うことで、新規参加者へのアピールを絶えず行っているのです。


しかし、それと正反対の方針を取っている音楽ゲームがあります。「BEMANIシリーズ」です。
BEMANIシリーズの大半は、版権曲の数はそこそこに、世間では全く知名度のないどころか、そのゲームで初お披露目のオリジナルの楽曲を年に数十曲も収録しています。
これでは新規参入者を阻んでいるかのようにも見えてもおかしくありません。
そのような状況にもかかわらず、十数年前から今に至るまで、BEMANIシリーズは音楽ゲームの金字塔として、知名度もプレーヤー数も上位をキープし続けています。


このようなオリジナルだらけの状況でBEMANIが成り立っている理由は何でしょうか。
それは「BEMANIコンポーザーの知名度」に他なりません。
大半がコナミ社員で占められる彼ら音楽家たちは、BEMANIシリーズに曲を提供しているだけではなく、彼らの楽曲こそが目玉といわんばかりに、象徴的な曲を生み出し続けています。
そしてそういう曲を求めて、BEMANIプレーヤーたちはクレジットを重ねるのです。
つまりBEMANIプレーヤーは、「好きなアーティストの新曲だからとりあえずCDを買う」という旧来の邦楽の購買心理と同じように、BEMANIコンポーザーの新曲を「アーティストの新曲」という感覚で選択しているのです。
この事から言えるのは、BEMANIシリーズに限っては、オリジナル曲自身が言わば宣伝曲となっている、「ライセンス曲の役割を果たしている」という事に他なりません。


この光景はBEMANI合同企画などの連動イベントにおいて顕著にあらわれています。
他の音楽ゲームの有名な「移植曲」が注目され、解禁の為にプレイを重ねる光景は、BEMANIオリジナルが「他BEMANIシリーズからのライセンス曲」という扱いになっている証なのです。


逆に、そういったBEMANIプレーヤーからすると、ライセンス曲はコナミオリジナル曲と比べて相対的に「知名度が低い」という状況になりえます。
ライセンス曲は前述の理由から難易度が低い事が多く、従来プレーヤーには物足りなさを感じる事も要因の一つです。
この逆転現象による影響が如実に出た作品が「ミライダガッキ」「ビートストリーム」です。
これらは音楽ゲームの初期のセオリーである「ライセンス曲を詰め込んだゲーム」にもかかわらず、さほど人気が上がっていません。
他のBEMANI音ゲーマーから興味を示されていない為です。
ミライダガッキに関しては、その後もライセンス曲が増えないまま他音ゲーの移植曲ばかりが増え、結果として他のBEMANI系作品と殆ど変らないライセンス率になってしまいました。


この状況はひとえに、BEMANIアーティストと言う名の社員中心の人物がオリジナル曲の価値を高める事に腐心し、それを長年築きあげてきた信頼と実績に寄る物に他なりません。
自社生産できるオリジナル曲という強固な集客要素こそ、いままでの強大なBEMANIシリーズを20年近くも形成し続けられた訳です。


しかし、その強固な「コナミオリジナル」にも、最近陰りが見えてきました。「有名アーティストによる提供オリジナル曲」の強化です。
beatmaniaIIDXは従来からその収録曲のほとんどをオリジナル曲が占めており、ライセンス曲は殆ど収録されない事が特徴です。
しかし、そのオリジナル曲の中の「BEMANI系コンポーザー以外の提供曲」がイベントの中心曲に採用されたり、ボス曲として君臨することが多くなっています。
理由としてはいくつか考えられます。


例えば「曲のマンネリ化」です。
コンポーザーにはそれぞれ楽曲の作風があり、それを持ち味としているアーティストもいます。
しかし、BEMANIシリーズの種類が増え、曲が頻繁に収録されるようになるにつれ、同じコンポーザーによる作風の似通った楽曲が同じシリーズ内に大量に存在することになりました。
特に「ランダムをかけることが日常となり、譜面の独自性が失われつつある」beatmaniaIIDXにおいては、ゲーム性による差別化は厳しい状況です。
しかし、作風は早々変えられません。作曲には技術的な側面が強く、別の作風で楽曲を作ったとしても、それが付け焼刃であるならば「その作風」を売りにしている他のコンポーザーに劣ってしまうのです。
kors k氏のような多才な作風の楽曲を輩出する作曲者もいますが、生業として曲をコンスタントに生み出さなければならない社員コンポーザーにそれを求めるのは少々厳しいと思います。


ほかにも「BEMANIアーティストの集客力の減少」も考えられます。
音楽ゲームのオリジナル楽曲を作れるのは彼らBEMANIコンポーザーくらいだった時代と比べると、
今はプロ・アマ限らず、誰にでも音楽ゲーム収録のチャンスが訪れる時代となっています。
そういった状況で「音楽ゲームの作曲に特化した」彼らBEMANIコンポーザーが「知名度」だけで勝負できる時代は終わりつつあるのではないか、と考えています。
どちらにしても、「BEMANIコンボーザー頼みのBEMANIシリーズ」の時代は、そろそろ転換点を迎えつつあるのではないでしょうか。


外部提供楽曲の利点は、「限定的なライセンス料の支払い」で済むことです。
裏を返せば、それだけ外部に金銭を支払う必要がある事になり、そのまま欠点となりえます。
もし、多数の音楽家を社員として抱えているBEMANIシリーズが、他音ゲーとライセンス勝負を仕掛ける時代になった場合、どういった結果を迎えるのか。
今後も注目していきたいと思います。



最後に僭越ながら告知を。
今回もコミックマーケットに参加します。三日目の西い20b、外周沿いになっております。
メインはクロスビーツ本ですが、余裕があればBMS関係と、パセリ関係の新作を用意する予定です。
皆様のお越しをお待ちしております。


(12/22追記)