slappin' beatsの補助的なblogです。
音ゲー評論系中心ですが他の内容も取り扱う予定です。
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DDRは足で演奏するゲームじゃない。

ゲームセンターでDDR(ダンスダンスレボリューション)をやっていたところ、
もう一つの台で二人組みでプレイしている人がいました。
踊(中級者向け)譜面に三倍速をかけ、両手で後ろにあるバーをがっちりと握り、
全体重をそのバーにかけながら足を中に浮かせながら必死に踏んでいました。
恐らく他の音ゲーマーであろうその二人の姿を見て、(あぁ、この人たちはDDRの楽しさを半分しか分かっていないんだな)と思ってしまいました。


DDRが他のゲームと異なる点は、パネルを足で踏んで動作させるという点です。
しかしこれは、単に他の音ゲーで手を使って行っていたことを足に置き換えたわけではありません。
手は単独で自由に動かせますが、足はその上に自身の体という重い物体が乗っかっています。
すなわち、手と同じ動作を行おうとすると、体という『枷』がある為にちゃんと動いてくれないのです。
それを無理やり手と同じ事をさせるとなると、少しでもその枷を軽くする為に体重を別のところに預けるしかないわけです。
彼らが音ゲーマーだと言ったのはそういう理由です。他の音ゲーは三倍速くらい普通ですしね。


後ろにあるバーを持つスタイル自体は、現在の上級者が高難度曲をプレイするときにはよく用いる方法で、
見た目の悪さやゲーム性からよく議論の対象になりますが、自分はそれを否定しているわけではありません。
しかし、『DDRをやる=バーを持ってプレイする』では決してありません。
バーを持たなければ制御できないほど荷重移動が激しい譜面があるから使うのであって、
大抵の譜面はうまく荷重移動を考えればクリアできる譜面が殆どです。*1
少なくとも踊譜面までは自然な足捌きでクリアできるようになっているはずです。


そう、荷重移動。これがDDRにおける他の音ゲーとの根本的な違いです。
簡単に言うと、『どのタイミングで踏むか』の前に、『どのように踏むか』というステップがあるのがDDRなのです。
たとえば、

  ↑
←
 ↓

という譜面が下から流れてきた場合、
最初の↑をどちらの足で、どのような動きをして踏み始めるかという事まで考えなくてはなりません。
右足で踏んだ場合、←を左足で踏み、右足を後ろに下げて↓を踏むという動作になります。


これを最初に左足で踏んだ場合、もし次の←を右足で踏むと体がねじれてしまい、
下を正面を向いて踏む為には左向きの慣性に逆らって↓を踏まなくてはなりません。
それを回避する為には←を左足で連続して踏まなければなりませんが、
その場合は左斜め後ろに急激な慣性が掛かり、さらに次の↓も左斜めにも慣性が働く為、
バランスを崩しやすくなってしまいます。


よって、このような譜面が流れてきた場合、『右足から入る』ということを考える時間も必要になってくる訳です。
そういうことを考えると、むやみにシーケンス速度を上げるのは無理だということが分かります。
最近の高速曲はこれを逆手にとって難易度を上げているわけです。


このような踏む為のテクニックは色々あり、『スライド』『ビジステップ』『ボックス踏み』などと呼ばれています。*2
これらをどこで用いるかを判断しつつ綺麗に踏みこなしていくかがDDRの醍醐味なのです。
よって決して『手で演奏する事を足に置き換えただけ』では無い事をはっきりと主張しておきます。


こういった勘違いが起こる原因はいくつか考えられます。
家屋の事情から家で練習できない・手本にする人や解説サイトが殆ど無い・高レベルの曲しか注目されないのでバー持ちの人しかいない、など。
DDRは踏んでも音が鳴る訳でも無いですし、何もしなくたって音楽は流れます。
元々はダンスゲーだったこのゲーム、もう少し分かっていただけたらなと思います。



追記:
はてブでのコメントありがとうございます。
あえて釣りっぽく書いたこの記事ですが、あくまで『他の音ゲーをやっている人』を対象とした記事であり、
啓蒙とかそんな大層なことを考えた訳ではありません。他の音ゲーと同列に考えてプレイして欲しくないと思っただけで。


音ゲーマーの純粋な初心者はハイスピ3倍かけてプレイなんかしませんし、
そういう人は人それぞれでやって欲しいと思います。元々衰退していたゲームですからプレーヤーが増えるのは大歓迎です。


スコアのための云々はまた別の話で。
この記事も某所で騒いでいる『PFC・スコア至上主義』に対するアンチテーゼ的な視点で書いたものなので、
「遊び方は人それぞれ」というのは全くその通りだと思います。

*1:実際にHealing-D-Visionの激譜面をバー無しAAクリアしている人を見たことがありますが、体の安定感が違います。

*2:解説はこちらhttp://www.wombat.zaq.ne.jp/game/mini/ddrwords2.htm