slappin' beatsの補助的なblogです。
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【サンプル文】BMSの演奏デバイスの認識の変化について

※8/9:修正・追記
※この文章は同人誌「BMSの歴史。」に収録されていない文章です。時系列的に載せる位置が無かった事や、時間的都合により掲載を見送りました。
※どのような論調で記載されているかのサンプルとなるかと思い、修正して記載しました。参考にどうぞ。
※特設サイト:http://radio613.bms.ms/

BMSの演奏デバイスの認識の変化について


BMSを遊ぶ場合、基本的にはキーボードの左下(ZSXDCFV+SHIFT)を使用していることが多い。
これは、基本的なパソコンのみでBMSをプレイする場合は入力デバイスがキーボードかマウスに限定されるからであり、
キーの並び方が近い左下部分が使われた、ということだろう。


この方法では、キーボード自身の機構的な同時押し制限に引っかかることが多く、3つの同時押しですら反応しないこともあったため、
作者たちはこのパターンを「避ける」配置をしたり、隣接配置のような「ずらす」配置を行なったりしていた。


この「配置の問題」を解消する手段として、MIDIキーボードや全押しの利くキーボード(Realforce等)、PC用ゲームコントローラ
変換機を用いた「専用コントローラ」の接続等が挙げられる。
しかし、これらは「フリーソフト」であるBMSに出費を強いるものであるため、よほどの物好きか、もしくは別に使い道のある人くらいしか購入はしなかった。


また、比較的安価な最後の専用コントローラは、性能的問題も考慮すると、変換機がそこまで敷居の低いものではなかったことや、
初期の五鍵盤コントローラはアスキー版・DJ-Station版ともに出来のよいものではなかったため、そこまで普及しなかったように見受けられる。

しかしこの状況に大きな変革が起きた。2000年、"IIDXPS2専用コントローラ"の登場である。
このコントローラはコンパクト化されているものの、比較的AC版と同じような感覚でプレイすることが出来る、非常に質の良い製品となっている。
他の音楽ゲーム作品の家庭用コントローラが様々な欠点を抱える中、ひとつだけ抜きん出て良いものだといえるだろう。


ただ問題として、新作発売が止まりコントローラの普及が進まなかった事と、コントローラ自体がソフト以上の価格で非常に高価である、という点があった。
よって、前述したように「フリーソフト」に変換器含め1万以上の出費を強いるのは難しかったのである。


その後、本家側も大きなターニングポイントを迎えることになる。本家7thからの開発再開プロジェクトを経て、本家の家庭用リリースが再開したのだ。
開発スタッフの努力もあり、「家でやるだけの価値」を付加させたシリーズとして多くの人がコントローラごと購買することになった。
加えて、USB変換機の性能が上がったこと、2004年にコントローラが廉価版として価格がかなり安くなった(7800円→5800円)事もあり、
専用コントローラの普及率が急激に増加したのである。


同時にBMSプレーヤーにもこのコントローラが普及したことにより、譜面の制限が「キーボードプレーヤーを切り捨てることによって」解消し、
「本家」のようなレベルの高い同時押し譜面でも「専コン所持者には」次第に受け入れられるようになったのである。
ここまでの理由から、2000年代前半まではBMSはキーボードでやるものであり、BMSをやっている人は必ずしも"本家"をやっているという訳ではなかったのだが、
このあたりからBMSをやっている人=本家もやっている人という認識が強くなっていくことになる。