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slappin' beatsの補助的なblogです。
音ゲー評論系中心ですが他の内容も取り扱う予定です。
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人気アニメ「音楽芸術学園 ビィト&マニー」同人誌のC79における頒布停止事件について

c79

※この話はフィクションです。


皆様、人気アニメ「音楽芸術学園 ビィト&マニー」(略称「音芸」「ビィ・マニ」)はご存知でしょうか?
知らない方が大半だとは思いますが、このアニメに関して、今回のコミケで二次創作に関わる重大な事件が発生した為、そのことについてつらつらと書いてみようと思います。
(アニメを既に知っている!と言う人は最初のほうは飛ばしても結構です。)




このアニメは現在四年以上に渡り放映が続けられており、現在18クール目になる人気番組です。
学園の名前が示すとおりこの作品には数多くの生徒が登場キャラクターとして登場します。
特徴的なのはその数で、1クールで登場する最終的な新キャラクターは48人は軽く超えると言われています。
ただ、アニメの最初に登場するキャラクターは全体の半分程度で、物語の進行に伴って新キャラクターが登場し、中には最終話ぎりぎりまで公開されないキャラクターもいたりします。


しかし、この作品の特徴的な点は、そういった新キャラクターのシークレット情報を事前に知る事ができる方法があるのです。
その為にはまず300円程度で買える会員証を購入しないとならないのですが、その後にグッズを買ったり、モバイルで画像等を手に入れたりすると、
ポイントを溜めることが出来たり、集めた種類を記録することができます。
条件が揃うと先行的に新キャラクターの情報や、ちょっとしたお話がお手元に届くようになっています。


過去作品からの人物も含めて500人以上キャラクターがいるので、AKB何とか以上に途方もない金額がかかりそうですが、一つのグッズは「3人ないし4人で100円程度」と言う非常に安価な価格設定なのでそんなにお金はかかりません。
よっぽどの「通」でないと見れない特別なキャラクターもいるにはいるのですが、だいたいのキャラクターは2万円くらい払えば大体のキャラクターは先行で見る事ができるようになっています
この低価格路線がウケて、現在高校〜大学生あたりを中心にコアなファンが多数いる人気作品となってます。
残念ながらそういったシークレットな情報自体はネットを探すと見つかってしまうのですが、自分で見たい!と言う人がたくさん居るおかげでこの作品が続けられていると言っても過言ではありません。


―――説明ここまで―――


ところで、人気作品には同人誌がつきもの、と言うのは良くある話で、この作品にも実際に同人誌が作られています。残念ながら他のアニメと比べてそこまで数は多くありませんが。
同人誌にする場合は5〜10人くらいのキャラクターを選んで書く場合が殆どで、紙面の都合上16人くらいを上限としているところが殆どです。
ただ、これだけの人数を描き分けるのは結構大変なので、描く側の人数は結構大人数になることも多いです。一人一キャラクター担当、なんて場合も良くあります。


「Driver's Style」というサークルもそのうちのひとつで、現在はジャンル最大手のサークル…でした。
もともとは主催が運営する「音芸」のファンイベントの運営資金を補填する為、と言うちょっとアレな経緯だったりもしますが、
その後は「主催が見たいものを作る」と言うことで、イベントや他の同人等で知り合った「描く技術をある程度持った人」たちを集めて同人活動を続けていきました。
常に高品質のものを求め続けるその姿勢は評価され、またメンバー以外にも公募も行い、クオリティが低いものは容赦なく落とすという徹底した姿勢から、「ドライバーズに載る事自体が目標」となる作者も多く、
名実ともに「ビィ・マニ」同人のトップに躍り出るとともに、サークル自体の人員的規模も拡大の一途をたどっていきました。
さらに主催の顔は広く、「音芸」の製作スタッフとも仲が良く、スタッフの同人誌をスペースで頒布する事もよくあったため「公認」のイメージも付き、「音芸ファンサイトの顔」としても知名度が高くなりました。
また、オリジナルで力を持つ作者が多くいることもあって、「ドライバーズ」自体のファンも非常に多く、このサークルを中心とした新たなコミュニティが形成されていきました。


さて、二次創作をする以上、「原作へのリスペクト」の必要性は当然だと思われます。批評的な立場でない限り、原作の売り上げを阻害するような行為は、決してあってはならないのは当然の話であるはずです。
この作品にとって重要な要素のひとつは「隠されたキャラクターの存在」です。
ポイントを貯めてくれた人の「ご褒美」として存在するそのキャラクターは、作品を盛り上げる上で重要な要素で、またその後の商品展開にも大きく寄与してくる存在です。
そこで、同人サークルはスタッフ側の不利益にならないよう、「キャラクター同人に対して一定の自主規制」を行ってまいりました。
緩いものでは「そのクールの初期から登場しているキャラは出すが、隠しキャラはアニメで放映するまで使わない」「全てのキャラが登場(全解禁)したらそのクールのキャラを使う」といったものから、
「クールの終了前に発売される「生徒名簿一覧(アルバム)」が出るまで待つ」「次のクールが始まったら使う」と言った厳しいものまでありました。


「ドライバーズ」はその中でも「名簿が出るまで」と言うかなり厳しい条件を課してた模様です。主催が別に開催している「音芸」のイベントでも、「名簿出るまでネタバレ禁止」の発言が出ていました。
しかし今回、Driver's Styleの16番目の定期刊行物「Drive:16」において、突然、未だに放映されていないキャラクターを二人も使用した、と言う事が問題となりました。
それだけでなく、「ビィ・マニ」の派生作品で、まだ放映が開始されたばかりの「リターン・ビィト」の隠しキャラクターも一人使われている事も問題です。
このキャラたちはまだ一般には公開されておらず、メディアミックス展開どころかストーリーも分かっていない状態です。うち一人は終盤の重要なキャラクターとして存在しており、本当に一部の熱心なファンの為の「プレミアムな情報」だったりするわけです。
そんなキャラクターにもかかわらず、同人誌として「先行的に後半の展開をネタバレし、二次要素を盛り込んで公開し"対価"を取る」と言う行動に出たのです。
さらに問題なのは、このキャラクター同人の「元ネタ」です。頑張って手に入れた「断片的な情報」から作品を作るのは容易ではありません。自分で出したならまだしも、「友達やネットの情報だけで作った」と言うのなら尚更です。
裏を返せば、「半分以上の設定がガセ」になる可能性も孕んでいるわけです。そんなものを公式発表前に発表し、公式よりも先に「金を取る」。そんな事が果たして原作のリスペクトといえるでしょうか。


しかし話はこれにとどまりません。そうして出来た作品があまりに「出来すぎている」ため、可能性としてもう一つの可能性が浮かび上がってきます。「ハッキング等による流出情報の入手・流用」です。
実は、今回もう一つ発表された作品がありまして、「特定のスタッフがデザインした」キャラクターにスポットを当てた同人誌のシリーズ「Sincerely, 〜〜」シリーズの最新作なのですが、
そちらで「全く情報公開されていない」ラスボス級キャラクターの二次創作が作られていた事が、サンプル画像から判明致しました。
コンテンツのバグで数時間だけ表示されていたため、存在を知っている人は少なくはないのですが、公式には「完全シークレット」の情報であり、作品の根幹をなすキャラクターなのは確実です。


作品の設定資料が流出するということはこの作品においては何故か頻繁にあります。9クール目からPCを用いたアニメ編集になったのにもかかわらず、外部へのセキュリティ対策を殆ど行っていない為だと言われています。
今回の18クールでようやく対策を採り始めたようですが…
そういうわけで、アンダーグラウンドでは流出しているのは確実なわけですが、それを拝借してお金を取ろうものなら話は別です。
直前になってこちらの作品は「自主的に」頒布中止になりましたが、サンプル画像を出す事自体には抵抗はなかったようです。


これらの、明らかに版権者の利益を損なう行為にようやく重い腰を上げたのかは不明ですが、片方の「Drive:16」のコミケ頒布が迫った29日、
著作物が含まれている」として、版権者の「コマニ」社はDriver's Styleに対し、「Drive:16」の販売停止をするよう警告しました。*1
これは利益活動をしている会社としては当然の話であり、二次創作側として出すぎた行為を行った報いであるといえます。


しかしその代償は「Driver's Style」に限った話ではありません。マイナージャンルながら謙虚に創作活動を行ってきた「音芸同人」全てに対し、「音芸同人は警告を受けた」と言うマイナスイメージを植えつけたのです。前科者のイメージを植えつけられた作品を誰が好き好んで買うというのでしょうか。
いずれ「音芸同人」は衰退の一途をたどるのは間違いないでしょう。


「警告」を受け、最初はTwitter、そして公式サイト・主催の個人サイトでもその発表を行い、そして「Drive:16」の頒布の中止を告知しました。しかし、Driver's Style側は二作品で行った自分らの落ち度を具体的に明らかにせず、あいまいな態度しかとりませんでした。
そのため、ニュースを聞きつけてやってきた、具体的な経緯を見ていない人が警告の部分だけを見て、「来るべき時が来た」と音芸の二次創作全てが原因だと判断し、ファンの中にはDriver's Styleを擁護する、またはコマニ社を批判する者まで現れ、最終的に、「警告」を受けた事実だけが残りました
もうひとつ、Driver's Styleは既に100人以上が関係する異常な規模のサークルになっており、「実力のある」大手の絵描きはほぼ関係者入りしていた為、表立って反論できる者は少なかったからだと思われます。


その後、今回の件を受けてささやかな良い出来事が起こりました
新作を頒布できなくなった主催者を見て、絵描きの一人が「俺達でオリジナル作品のコピー本を作ろう!賛同者がいなかったら自分ひとりでもやる」と言い始めたのです。
開催まで残り2日、どう考えても作品を集めるには厳しい時間です。しかし、Driver'sのスタッフや、ファンの絵描きたちが次々に賛同し、最終的に約40作品、90人を超える大きなコピー本となりました。
時間がなかったから、ところどころホッチキスは取れ、印刷は掠れ、紙は破けているという、完成品とは言えない出来になってしまいました。しかし、数多くの思いが詰まった作品。こんな素晴らしい作品が生まれた事に、完成できたことを喜び、ともに分かち合いました。
このことについて、作者達は誇るべきだと私も思います。


しかしこちらのコピー本、「THE DRIVER'S STYLE」についても、主催、そしてファン側は二点、問題となる行動を起こしました。その「頒布価格」と、その作品に対する「意味づけ」です。
まず、この企画は発起人の作者ではなく、主催が指揮を取るということになりました。賛同者が予想以上に多かった為、Driver's側でやるのが効率がいいという事なのでしょう。それは分かります。謹慎しておくべき時期なのに自ら指揮を取る、と言う事はさておき。
しかし、まだ「寄稿作品が一作品しか届いてない」29日の時点で、主催はこのコピー本の価格を、コピー本としての価格ではなく、今まで出していたオフセット本の価格と同じ「1000円」と言う価格を提示したのです。
二日で完成させようとしているものに対して、しかも急造のコピー本に対して異常な高値をつけるということは、いままでの「質を追求し、リテイクを繰り返し行い、時には容赦なく落とす」Driver'sの姿勢とは相反するものです。
勿論、価格設定に関してはそのサークルの自由ですが、以前もオリジナル作品を「1000円」で売っている経緯がある以上、それと同等の品質を「保証」していると思われて当然だと考えます。
もし、それを保証していないとしたら、せっかく印刷し大量の在庫を抱える事になった二作の代わりの、ただの赤字補填、と見られても仕方ありません。その態度は、「お上に怒られても懲りてない、子供のよう」です。


Driver'sのファンはそれでもいいでしょう。たとえそのCDにコピー本程度の価値しかなかったとしても、Driver'sに対する「チャリティ」と考えればいいのですから。
結局のところ値段に関しては、購買側は「買う」「買わない」の判断でしかないので何も気にする必要がないのです。
これに眉を寄せるのは、作り手側、そう、他の同人作者達です。
半年、もしくはそれ以上、同じ同人作者として切磋琢磨し、練りに練り上げた自分達の作品と、たった二日ででっち上げた作品が同等の価値で売られ、周りにはそれを良しとされる
そんなことされたら、クリエイターとしてむなしくなりませんか?俺達の作品はなんだったのか、と。
これら同人作者に対する貶しはこれだけではありません、今回「Driver's style」周辺の人たちは、この作品を作るうえで「これが俺らの音楽だ」と断言しました。今まで20作以上音芸の二次創作を作ってきた彼らが、音芸同人サークルとして名を上げていった彼らが、
二次創作時代の彼らを「些細な事にした」のです。
本当なら、「音芸」スタッフ側にかけた迷惑、そして、「音芸同人全体」にかけた迷惑を反省し、ささやかながら用意した「コピー本」を提供する、その程度にとどめておくのが、周りに向けた最善のメッセージでしょう。
それなら私もここまで怒りませんでした。むしろ当日、これからのDriver'sを応援しに、スペースまで駆けつけていたかもしれません。


しかし今回、彼らはコピー本を作っていく過程で、「俺達にはオリジナルがある」と言わんばかりに騒ぎたて、行き過ぎた行為を咎めたスタッフ側に唾を吐き、
負の遺産を残された他の音芸同人サークルを無視して、仲間とファンを引き連れて一次創作の場へ旅立ってしまいました。

元々オリジナル作品で実力のある人を「Driver's」に引っ張ってきたケースが多く、「自分のオリジナルキャラの脇役として音芸キャラクターを出す」ような作品もしばしばあったサークルです。
二次創作元ではなく「作者」が好きな人が買う、と言う事もありました。なので今からオリジナルに方向転換しても、間違いなく成功するでしょう。「彼らの」ファンは多いですから。


しかし、「音芸の二次創作」という場を、二重にも三重にも破壊・冒涜し、一つのジャンルを終結させたことについては、未だに、何のコメントもありません。
彼らの出したコメントは、版権元の「コマニ」と、彼らの「ファン」に向けたものであり、それを取り巻く環境には全く目を向けていないのです。


私も彼ら100人を超える「関係者」と少なからぬ関係を持っている身分です。この音芸同人界隈、関係者を持っていないクリエイターのほうが少ないです。そしてファンの数も膨大で、他の音芸同人を知らない人も多い。
それだけ「異様なシステム」なので問題視する意見は殆ど上がってこない。あったとしても、発言力のある人はほぼ関係者の為、そういった発言は黙殺されます。
だから私も、ある程度覚悟を決めて、この文章を書きました。これだけの事件を書かないという事は、「Drive:04」で「音芸同人」を知り、10年近く彼らを「応援してきた」身として、耐えられなかったのです。


私は、主催が全て悪いとは思いません。行き過ぎた作者・ファンが煽て囃した事も大きいと思います。
しかし、これだけは主催に問いたいのです。出来れば会って話したい。
なぜ、今回の「隠しキャラの作品」を乗せる事を、「許可した」のか。
なぜ、コピー本に1000円と言う値段をつけたのか。
意図的な理由があれば、私も溜飲を下げます。ですが、今のあいまいな発表のままでは、納得できません。
そして、二次創作を、二次創作活動を行っているみんなを、舐めないで下さい。


「僕たちも」あのゲーム達はまだ大好きですし当たり前ですがプレイもするのです。
そのことを、忘れないで下さい。


23:57 追記:
携帯より。
先ほど主催と電話で(初めて電話番号を聞きました)話をし、二つの質問と、今回のオリジナル作品についての見解を頂きました。


なぜ、今回の「隠しキャラの作品」を乗せる事を、「許可した」のか。
明確な回答を頂きました。しかし、これを明らかにする事は今後の音芸同人に関わるため、ここで話すことが出来ません。話すこと自体か危険を孕む問題で、俺にそのスイッチを押すことは不可能です。
これは他のサークルについて考慮した判断だと、私は認識しました。こちらはカレーの何辛から「辛口」と思っていても、相手にとってカレーはどんなものでも辛いのです。


なぜ、コピー本に1000円と言う値段をつけたのか。
「やろう、と手を挙げていた30人余りの意志を見て、彼等ならやってくれると判断したから、この価格にした。」と伝えられました。
例えコピー本でも、誇りを持ってそこまで断言出来るのなら、同人としてそれを咎めることは、出来ません。


また、これが俺らの〜という話は短時間で次々と完成する「勢い」に対してのもので、決して音芸同人を切り捨てた訳ではない、とも。


私が求めていたのはこれら「Driver'sの外へ向けたメッセージ」でした。
上に書いたような、今回音芸同人に起きた事実は、変わりません。
しかし、これを決して「身内の問題」として済ませてる訳ではないという事を、確認することが出来ました。
それだけでも、音芸仲間の誰にも相談できず、一週間悩みながら書き上げた甲斐があったと、思います。

*1:01/10文章を修正