鷲崎健さんの件で初めてクラウドファンディングを知った人に向けて簡単に説明してみる
声優・アニメ系のラジオ番組DJ・イベント司会の鷲崎健氏のクラウドファンディングが話題になっています。
【応援中!】鷲崎健 4thアルバム&1stワンマンライブ 実現プロジェクト
氏の新しいアルバムとライブの実現に向けたプロジェクトであった訳ですが、なんと1日にして2000万以上の資金を集めてしまいました。
その功績は素晴らしく、多くの視聴者が氏の音楽作品を望んでいた事を実感することになりました。
しかし、あまりにアクセスが集中した為、目的の金額の出資が出来ず、「出資した際の特典」が獲得できなかった人を中心に不満の声が上がっています。
殆どは、「限定版がサイトトラブルで買えなかった」「限定数が少なすぎる」等の不満です。
アクセス過多によるアクセス障害と、高額出資の売り切れまでの見通しの甘さについては主宰のbamboo氏も非を認め、謝罪をしています。
しかし、「限定品」に焦点を当てた批判については、クラウドファンディングの考え方として、少し筋違いではないかと考えます。
大抵はクラウドファンディングについての知識不足によるものだと思いますので、今から説明してみたいと思います。
ここは、皆様にも親しみのある同人活動に例えてみましょう。
私は5年以上評論系の同人サークルをやっているのですが、
コミケのある夏と冬の年2回、新作や再版分の印刷代、申込費用、取材費、執筆費用等で毎回10万以上のお金を先に支払っています。
パソコンを一台買う以上のお金をすぐに出せるようになるには、資金に余裕が無い限りとてもではないけどできません。
今は売り上げを別口座で管理しているのである程度はなんとかなっていますが、私も最初のころは資金繰りに苦労していました。
とある同人音楽サークルの主宰は学生だったので、信用ある知人から毎回お金を借りて作っていたという話もあります。
そうやって先払いによるハイリスクを背負う訳ですが、それをコミケ本番でどれだけ回収できるかは未知数です。
私は出来るだけトントンになるように計画はしているものの、どうしても赤字になる回の方が多かったりします。
6ケタの赤字も2度経験しています。
一部では「同人は儲かる」という風説がありますが、
基本的にハイリスクローリターンが常の同人活動の中で、偶然「流行」等の時流に乗って獲得した「成功体験だけ」が語られているか、
もしくはプロモーション(広告活動)を熟知している仕掛人によるハイリターンを、さも誰でもできるかのように語られているにすぎないと考えます。
また、同人における製作数の見通しは「経験」である程度補える所もありますが、「全く未知数」の新規ジャンル製作の場合、
見通しが分からないという危険性があります。(2度の大赤字はそういう事です)
もし、「同人誌を作る為のお金を買い手に先に出してもらう」事が出来れば、資金不足による問題は解決します。
さらに募集を掛けた母数に対しての「資金を出してもらえる人数」を事前に知る事ができるため、印刷数の見通しも立てやすくなります。
その代わり資金提供してくれた人に対して、「せっかく資金を出していただいたのだから、出来たものは優先してお渡しします」「お礼に特別なものを付けて差し上げます」
といったプレミアムを付ける事ができるのです。その「結果」として、資金を提供した人が実際の商品を手に入れる事になります。
これが「商品提供系のクラウドファンディング」の基本的な流れになります。
ここまで説明してお分かりになると思いますが、あくまでクラウドファンディングは「資金調達」が主で、「特典」については副次的なものに過ぎません。
(性質は異なりますが、最近話題の「ふるさと納税」も似たような形ですね。)
中野の駅前広場で屋外DJイベント「Re:animation 7」を開催する! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
中野駅前で無料野外DJイベントを開催する為のクラウドファンディング。bamboo氏の企業もこれに出資している
今回の鷲崎氏のクラウドファンディングも「ライブと新作CDの実現の為の資金調達」が目的です。
クラウドファンディングはCD販売用サイトではありませんし、ここで想定以上の販売数を出してしまうとアニメイトなどのCDショップにも迷惑がかかります。
また、途中でプランを変更するという事は、「事前に提出した資金調達計画」を破棄することになり、
製作に携わる業界人はもちろん、条件を見て計画に賛同した出資者に対しての反故にもなりかねません。
鷲崎氏を応援する方法についてはショップで「一般流通したCDを買う」と言うのも一つの手です。
「CDをランキングに乗せたい」のであればそちらが有効ですからね。
割引や限定品の提供が主の、言わば通販番組をネット化したようなクラウドファンディングも巷には溢れており、
単なる広告や時限商法、限定商法まがいのクラウドファンディングもあります。
しかし、それはクラウドファンディングの本質ではないという事は理解してほしいと思います。
またクラウドファンディングは「資金を前借できる」という意味で、「信用を担保に」お金を調達しています。
その事を認識せず、無計画に進め頓挫させたりすることや、さらには詐欺まがいの事例もあるようです。
その点、今回のbamboo氏は過去に数回クラウドファンディング方式にて、合計数千万の資金調達を成功させている実績があり、
最後まで計画を完遂できる、信用できる人物として私は今回出資を決めました。
クラウドファンディングについては、そういった「出資者が信用たる人物か」と言う所にも注目して、
資金を支払うか考えてみてはいかがでしょうか。
参考文献:
クラウドファンディングについて書いてみる。:浅草NOWまとめ - ブロマガ